動画
  • テラヘルツパルスによる励起子のイオン化
  •  半導体中の励起子は、伝導帯に励起された電子と価電子帯に残された正孔がクーロン力によって束縛された状態です。これに強いテラヘルツ電磁波パルス(ピコ秒程度の振動周期を持つ光)を照射すると、パルスの電場成分によって電子と正孔が逆向きに加速され、励起子は解離(イオン化)してしまいます。その様子をシミュレーションしたのが以下の動画です。
     赤線が、正孔から見た電子の存在確率を表しています。始状態は1sと呼ばれる束縛状態であるため、波束は相対座標x=0付近に局在しています。
     上側の青い帯がテラヘルツ電場の大きさを表しています。電子は負電荷を持つため、電場とは逆向きに加速されます。このシミュレーションでは、パルスが過ぎ去ると波束が左側に離れていき、励起子がイオン化したことがわかります。
     このようなイオン化の効果は、近赤外超短パルスレーザーを用いた過渡吸収分光によって実験的に確かめられました。実験と計算の詳細はYuta Murotani et al., J. Phys. D: Appl. Phys. 51, 114001 (2018)を参照してください。
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