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超伝導体の超高速光・テラヘルツ波制御

近年高強度テラヘルツパルスの発生技術が著しく進展したことで、テラヘルツパルスを用いて物質の性質を調べるだけでなくテラヘルツパルスによって物質の性質そのものを変化させる・制御するといった新しい実験が可能になり、大きな注目を集めています。私たちは1 MV/cm級の電場尖頭値を持つ極めて強いテラヘルツパルスを発生させることに成功しており、これを用いた新しい光と物質の非線形な相互作用について研究し、光による新しい物質相制御の可能性を探っています。

この強いテラヘルツ波光源を用いて、BCS超伝導状態の光制御に向けた実験を行っています。典型的なBCS 超伝導体の超伝導ギャップは数meV(~THz)程度の大きさを持ちます。それと同程度の光子エネルギーを持つ高強度テラヘルツパルスを照射すると、超伝導を担うクーパー対は壊され、2つのボゴリューボフ準粒子が高密度にかつ瞬時に生成されます。この新しい「光」による高密度準粒子注入によりBCSギャップが収縮して常伝導相へと相転移する様子(Ref.1)や、非平衡BCS超伝導状態で生じる興味深いコヒーレント過渡現象(Ref.2)を多次元テラヘルツ分光などの新しいレーザー分光技術を開発しながら調べています。

自発的対称性の破れた系においては、オーダーパラメーターの位相の揺らぎ(南部-ゴールドストーンモード)及び振幅の揺らぎ(ヒッグスモード)に対応する2種類の集団励起モードが存在しています。素粒子物理学におけるヒッグス粒子に代表されるように、このような集団励起モードを観測することは系の基礎的な性質を理解する上で極めて重要です。我々は、モノサイクルの高強度テラヘルツパルスを用いてBCS状態を瞬間的に(非断熱的に)非平衡状態へと励起することで、オーダーパラメーターの振動、つまりヒッグスモードが現れることを初めて観測しました(Ref.2)。このヒッグスモードの研究を通して、量子凝縮相の非平衡ダイナミクスを明らかにしていくとともに、超伝導状態を光によって超高速にコヒーレント制御する技術の開発を目指して研究を行っています。


Ref.1)"Nonequilibrium BCS State Dynamics Induced by Intense Terahertz Pulses in a Superconducting NbN Film",
R. Matsunaga and R. Shimano, Phys. Rev. Lett. 109, 187002 (2012).
Ref.2)"Higgs Amplitude Mode in the BCS Superconductors Nb1-xTixN Induced by Terahertz Pulse Excitation",
R. Matsunaga, Y. I. Hamada, K. Makise, Y. Uzawa, H. Terai, Z. Wang, and R. Shimano, Phys. Rev. Lett. 111, 057002 (2013).
Ref.3)"Light-induced collective pseudospin precession resonating with Higgs mode in a superconductor",
R. Matsunaga, N. Tsuji, H. Fujita, A. Sugioka, K. Makise, Y. Uzawa, H. Terai, Z. Wang, H. Aoki, and R. Shimano, Science 345, 1145 (2014).

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Shimano Laboratory Department of Physics, School of Science, The University of Tokyo