研究内容紹介
光と物質の相互作用は、光が十分弱い場合には摂動として扱うことができます。
多くの光学現象はこの摂動論領域に該当します。
しかし、近年、高強度の超短パルスレーザーの発達とともに、瞬時電場強度が非常に大きい光パルスを様々な波長範囲で発生させることができるようになり、非摂動論領域での光と物質の相互作用の研究が可能となってきました。
原子・分子の系では、高次高調波発生やアト秒パルス発生などの研究が進展してきました。
一方、固体では強い光電場による破壊を如何に避けるかが問題でしたが、最近、中赤外やテラヘルツ周波数帯でも高強度のコヒーレントパルス光源の発生が可能になり、固体中でも破壊を避けて非摂動論領域の現象を電場の実時間波形を観測しながら調べることが可能になってきました。
当研究室では、固体の電子状態の動的光制御を目指し、高強度テラヘルツ波パルス光源の開発や、その物質との非線形相互作用の研究を進めてきました[Ref.1]。
最近では、半導体中に水素原子同様の素励起、励起子(エキシトン)のイオン化過程の実時間ダイナミクスの研究[Ref.2]や、ランダウ量子化したディラック電子系での極端非線形光学など[Ref.3]の研究を行いました。
この研究を発展させ、強い光・テラヘルツ振動外場下での固体ブロッホ電子状態の制御、量子相制御を目指して研究を進めています。